私は普通の会社員ですが、自宅の庭でペットとして山羊を飼っています。昔は山羊は日本中どこにもいたようですが、今はそんなに見かけることはないですね。それに一般人が山羊を飼おうとしても、そもそもどこで入手できるのか?、どうやって飼えばいいのか?といった情報も少ないです。
そこで田舎とはいえ住宅街の庭先でペットとして山羊を飼っている経験をもとに、私なりの山羊の飼い方のコツなど少しずつ書いていこうかと思います。
1.山羊を飼う目的は?
ここを読んでいる人はもちろん山羊を飼いたいと思っているものという前提で書いていますが、その目的は人それぞれ違うと思います。どんなパターンが考えられるのでしょう。
愛玩用、除草用、食用、山羊ミルク用、繁殖用などでしょうか?
我が家では愛玩用+除草用として山羊を飼い始めました。
将来的には繁殖させて山羊ミルクを搾ってみたいという野望もありましたが、近くに適当な雄山羊が見つからないので、そちらは今のところ保留というところです。
食用は予定ありません。その割にボーノなんて名前を付けていますがw
ということで、ここでは個人で愛玩用+除草用として山羊を飼うことを考えている人向けのお話しをさせていただきたいと思います(それ以外はできません)。
2.山羊の入手方法
牧場を経営しているような人は別として、一般人が山羊を入手するには山羊業者さんから購入するのがまあ普通だと思います。ペットショップから購入できれば一番手軽ですが、ちょっと割高かも。他には仔山羊の競り市で競り落とすことでしょうか。
私の場合は県内のとある山羊業者さんから購入しました。
その時に雌の仔山羊を2頭発注したのですが、たまたま業者さんのところに雌の仔山羊が1頭しかいなかったので、もう1頭愛知県の仔山羊競り市で競り落としてきてくれました。
仔山羊の競り市というのは、山羊(ひーじゃー)の飼育が盛んな沖縄県で定期的に行なわれているのを除くと、愛知県、長野県、群馬県でそれぞれ6月、7月、9月に行なわれているようです。一般の人も競りに参加可能で入場は無料のようです。
愛玩用としてなら、その中でも一番早く開催される愛知県の競り市で購入するのが良いと思います。1つ目の理由としては、一番小さい時から飼えるから(いつ生まれたかによるので一概には言えませんが)。やっぱり小さい仔山羊は滅茶苦茶かわいいです。私の場合は業者さんのところで1月に生まれた仔山羊と、競り市で競り落とした4月生まれの仔山羊を迎えましたが、1月生まれの方は既に大人と同じサイズになっていました。ボーノちゃんは来たばかりの時はまだ小さかったです。
2つ目の理由としては、過去のデータを見る限り愛知県の競り市は比較的落札価格が安いということ。でも我が家のボーノちゃんは落札価格が5万円だったそうです。業者さんの話ではそれでも1頭しか競り落とせなかったらしいです。近年はペット用に購入したい一般の人が競り市で金額を釣り上げているので、業者さんが困っているという情報もあります。あ、自分もかな? もっとも売り手としては嬉しいことなのかもしれません。
それから注意点、競り市は基本的に愛玩用ではありません。競りのために仔山羊の体にチョークで大きく数字が書かれています。我が家のボーノちゃんも左右に赤と青で数字を描かれていました。毛が生え変われば消えますが、これはちょっと残念な気がします。

3.購入前の準備
何もないところでいきなり山羊を飼うことはできませんから、前もって色々準備が必要です。
とりあえずは山羊を飼う小屋と餌の確保、それと山羊を診てくれる動物病院があるか?ということですね。
あと一つ重要な事として、山羊も犬と同じく鳴き声が結構大きいので、ご近所さんに山羊を飼うことを伝えておいた方がいいです。ご近所さんに反対されるような場合、山羊を飼うのは難しいかもしれません…
3-1.山羊小屋
山羊は乾燥している土地の生き物なので湿気が嫌いで、雨に濡れるとすぐ体調を崩すと言われます。なので雨を防ぐための屋根は絶対必要ですね。それと風通しがいいことが大事です。
私も最初2頭の山羊を迎える前に、本やネットの情報を基に、家の横に山羊小屋を作成しました。

山羊の業者さんも小屋を見てこれなら大丈夫と言ってくれましたが、結果的には最初に作った小屋の構造は失敗だったなと思います。どんなところが失敗したかというと・・・
失敗ポイント1 : 屋根が透明なこと
写真をご覧になってすぐ分かるように透明なPVCの波板で屋根を作ってしまったことです。私の家のある地域は夏でもエアコンが要らない冷涼地なのであまり暑くなると思っていなかったことと、暗くてジメジメした小屋は嫌だなと思って、光が入りやすいように透明な板を使ってしまいました。
隣家の陰になって日当たりがあまりよくない場所だったのですが、それでも日差しが強い日は昼のわずかな時間だけでも山羊が暑そうにしていました。
これはすぐにベニヤ板で日差しを防げるように改造しました。
失敗ポイント2 : 木屑を敷いたこと
休む時に床に直接よりもいいかと思って木屑を敷いたのですが不要だったと思います。何故かというと、山羊のおしっこが思ったよりも臭いがきつく、木屑が濡れるとさらに臭いがきつくなってしまうからです。おそらく木屑に染みたことで表面積が増えて気化しやすくなったためと、木自体の匂いも一緒に出たためと思います。
それに山羊が足で蹴って散らかしてしまうので、せっかく敷いても無駄になってしまいます。それなら、ということで結局床に直接寝てもらうことにしました。
失敗ポイント3 : 高床式にしたこと
飼う前にいろいろ情報を調べてみたら、山羊小屋は高床式にすると良いというようなことを書いていらっしゃる方が多いのですが、、高床式する必要は無いと思います。床を合板で作ったのですが、おしっこが染みて腐っていくので匂いの元になります。それに結局床下がジメジメして匂いの元になり、掃除もやり難くなります。
おしっこが染みなくて掃除のしやすいコンクリートの床が良いと思います。
私の住む町は富士山の麓で標高800m近いところなのでそれなりに田舎なのですが、やはり住宅街なのでご近所さんに迷惑を掛けないように匂い対策が一番大事です。ネットで山羊の飼い方を調べていると、山羊を飼っている方の多くは自宅であっても半ば原野の中のようなところで飼育されています。しかし、その場合は匂いについてあまり気にする必要が無いという前提での飼育方法なのではないかと思わざるを得ません。掃除をし易い環境を作って、こまめに片付けましょう。
ではどうしているのか?
結局我が家の山羊小屋はこんな感じです。

見た目はとても悪いですねw ガレージに転がっていた余り物の資材を使って作っています。ドリルでネジを打っていくだけだったので、制作時間は20分くらいの超手抜き&ローコストな物件です。
何度か山羊小屋を作り直してきたのですが、遊び感覚で破壊工作が始まるので、もうきれいな小屋を作るのは諦めています(もちろん私だってきれいな小屋の方がいいですが)。
床部分はコンクリートです。エアコンの室外機が置いてあった場所をそのまま使っています。
3-2.飼料
私の場合、山羊を飼い始めたときは除草用と考えていたので、自宅周辺や会社に生えている草だけで飼うつもりでした。でも今はほぼ家畜用の飼料のみで飼育しています。
実際、山羊自身はその辺の草さえ与えておけば満足すると思います(いい加減なようですが)。でも、私の場合、そうもいかない事情が出てきてしまいました。
理由1 : マダニが発生
私の家は山の上の方にあり、町の周辺は山林に囲まれています。そして、夜になると家の周辺にも鹿や猪がやってきて、庭や畑の植物を食い荒らしたりしています。
そのような環境なので、我が家の周辺の空き地も当然のように野生動物の通り道になっています。そのため、家の隣の空き地でもマダニが大量に発生しています。
あるとき自宅横の空き地にリードで繋いでおいて、数時間たったところで連れ戻しに行ったら、山羊達は食べ疲れたのか寝そべって休んでいたのですが、山羊のお腹が黒っぽくなっていました。何かな?と思ってよく見たら、それはお腹の毛の薄いところにびっしりとマダニがくっついていました。鳥肌が立ちましたね。急いではたき落として全身の毛の生えているところもチェックしました。
その時に、野生動物がたくさんいるような環境では、空き地に放牧することさえ難しいと思いました。
それと、前述したように、私は最初に雌の仔山羊を2頭購入しました。それは県内の山羊業者さんからでしたが、1頭はその山羊業者さんの牧場で繁殖した仔山羊で、もう1頭はその業者さんが愛知県の競り市で競り落とした仔山羊でした。
その山羊業者さんのところで産まれた仔山羊の方に購入した時にマダニが付いていました。どうも牧場と言っても山林の中で原野に放牧して飼育しているらしく、そのような環境からマダニが寄生していたようです。競り市で購入した仔山羊(ボーノちゃん)にはマダニは付いていませんでした。
理由2 : 毒草を食べてしまう
馬に乗り始めた頃、馬に道草を食べさせても大丈夫なのかと聞いたら、馬は自分で食べられる草と食べられない草が分かっているから大丈夫と言われたことがあります。眉唾だなぁと思ったものですが。山羊に関しても同じようなことをおっしゃる方がいらっしゃいます。
でも私はそれは間違いだとはっきり言わせていただきます。少なくとも我が家の山羊はどちらも好き嫌いはあるくせに全く毒草を避けてくれません(野生の本能が足りていないのでしょうか?)。
私の家の周辺にはトリカブトが大量に自生しています。おそらく鹿が他の野草を食べてトリカブトだけ残しているからだろうと推測していますが、我が家の山羊達は平気でトリカブトの葉を食べてしまいます。
また、近所の空き地に水仙が沢山生えているのですが、その葉もむしろ他の草よりも好んで食べてしまいます。紫陽花も少し毒があるようですが、おいしそうに食べてしまいます。
そういう経験から、私は自宅周辺に放牧(リード付きですが)するのは危険だと思いやめました。
理由3 : おしっこが臭くなる
経験上、生の草を食べさせるとおしっこが臭くなります。
山羊の糞は他の動物、例えば犬や猫や馬などと比べると匂いは少ないです。草の匂いですし、排泄後日光に当たってすぐに乾燥するような場合は、(人それぞれでしょうが)ほとんど気にならないと思います。生草を食べてもちょっと臭くなる程度です。私が山羊を飼う前にネットでいろいろ調べたときも、山羊の糞は臭くないから飼いやすいみたいなことを読んだことがあります。
でも山羊のおしっこはとても臭いです。
我が家の山羊達は生草を食べているときはほとんど水を飲みませんでした。なので全然薄まらないまま出てきてしまうんですね。確かに生草を搾ったようなものですから、匂いがきついのは間違いないです。
原野に放牧して除草作業をさせているような飼い方なら匂いなんて気にならないでしょうし、堆肥として使うのは糞だけですから、山羊の糞は臭くないと言えると思います。
でも私のように住宅街の庭先で飼育する場合には、生草を食べた山羊のおしっこの臭気はちょっと許容できないと感じました。
しかもこれが糞を濡らしてしまうと、さらに臭気が倍増してしまいます。会社勤めをしている私の場合、直ぐに片づけることが出来ないので、なるべく匂いを減らすために、生草を与えるのはやめることにしました。
そういえば山羊を連れてきた業者さんもすごい山羊臭がしたなあ・・・
なんだかネガティブな事ばかり書いているようで恐縮ですが、ここでは個人が自宅で山羊を飼うことを前提に書いているのでご容赦ください。ダニや毒草の無い環境であれば放牧も可能と思います。
結局のところ、我が家では馬用のヘイキューブを与えています。
ヘイキューブは私の職場の近くのJAで購入しています。30kg入りで約2800円くらい(時価)なので普通の牧草の方が安価ですが、乗用車で運ぶのに袋入りの方が都合が良いです。
ヘイキューブは山羊の嗜好性はとても良好です。雑草よりも好んで食べてくれます。でも大きな塊のものは山羊の口にはちょっと大きいので、大きいものは砕いて与えています。
それに塊になっているので山羊が散らかしにくいというのがメリットが大きいです。馬もそうですが、山羊は草を結構こぼしながら食べます。しかも、馬と違って一度地面に落ちたら絶対に食べようとしない我儘っぷりです。落ちた草はゴミになってしまうので、散らからないというのはメリットが大きいです。
一度に30kg入りを3袋購入していますが、1頭では大体2か月分です。
3-3.動物病院
山羊の飼育を始める前に獣医さんは探しておきたいところです。全国的に家畜獣医が不足していると言います。私の住む静岡県東部では牛や馬の牧場も結構多いので、獣医さんはすぐに見つかるかなと楽観していたのですが、普通の犬猫用の動物病院では大型動物は診てくれないことが多いです。また、牛や馬の獣医さんは山羊を診てくれないことも多いです。
御殿場市周辺では結局見つからず、以前ハリネズミを飼っていたころに知り合いからエキゾチックアニマルも見てくれると教えてもらった、沼津市にある保坂動物病院で診てくれるということでしたので、そちらで診察していただいています。こちらは清水町にあるサントムーン柿田川というショッピングセンター内にも分院がありますが、ショッピンセンターに山羊を連れていくのはハードルが高いですねw 先生が分院に行っていない曜日に沼津の本院に行くのが良いと思います。
4.飼い始めたら
4-1.保健所への届け出
山羊を飼い始めたらやらなければならないことに、保健所への届け出があります。山羊は家畜として扱われるので、私の住む地域では静岡県東部家畜保健衛生所に山羊を飼い始めたことを報告します。
山羊は偶蹄類なので口蹄疫に感染してしまいますから、防疫のためにもこの報告は重要ですね。
また、毎年2月1日の飼養状況を2月末日までに定期報告する義務がありますが、この書類は毎年保健所から送られてくるので忘れることはないと思います。私の場合は小規模所有者になるので、基本情報と補足資料の2枚だけです。内容的にもどこで何頭飼っているかとか連絡先くらいしかないので全然難しくありません。
ちなみにこの書式は静岡県東部家畜保健衛生所のサイトからダウンロードできました。そしてE-mailでの提出が可能です。
4-2.削蹄
山羊の蹄は放っておくとどんどん伸びてしまい、蹄が伸びすぎると歩行困難や蹄の病気を引き起こしてしまうこともあります。健康管理のためには定期的な削蹄が欠かせません。
私自身削蹄の仕方は自信がないのですが、独立行政法人家畜改良センター茨城牧場長野支場のサイトに詳しく削蹄の方法が載っていたのでそれを参考にしています。下の方にPDFで山羊の削蹄のやり方が貼ってあるので便利です。
削蹄の頻度ですが、私の環境では月イチくらいでもいいかなと思っています。ただ、飼っている場所(地面の質)や運動量によって違うと思うので、これは毎日観察してあげるしかないですね。
我が家のボーノちゃんの場合、小さい頃はコンクリート混じりの固い場所で飼っていたら勝手に蹄が削れてほぼ削蹄が要らない状態でした。場所を移して砂っぽい柔らかい場所で飼っていたら月に一度は削蹄しないと伸びてしまうようになりました。
それと、削蹄に使う鋏は剪定鋏を使っているのですが、これはすごく重要です。安っぽい鋏だと全然歯が立たずに苦労することになります。高価でも15mm以上の枝をカットできると書いてあるような強力な剪定鋏を選ぶべきです。手こずっていると自分も山羊も体勢的に辛いですし、手早く済ませたいですよね。
4-3.犬に近づけない
なんだそりゃ?と思われそうですが、そして我が家の山羊達だけかもしれませんが、犬が山羊に近づくと攻撃します。
故後藤さんもボーノちゃんも我が家で飼っている甲斐犬が初めて会った時から大嫌いでした。オオカミに襲われる記憶というのが遺伝子レベルで刷り込まれているということでしょうか? そして我が家の甲斐犬ハナちゃんは、散歩していると「あ、オオカミだ」と子供たちに指さされるくらいワイルドな顔をしています。これがチワワとかだったらオオカミと認識されないのかもしれませんけど。
で、ボーノちゃんは成長につれ犬を角で突くようになり・・・その結果反撃されて右耳を怪我してしまいました。
犬は山羊を嫌っていませんが、お腹を角で突かれて持ち上げるという、痛いことをされて怒ったんでしょうね。リードで繋いで離して飼っていたのですが、仲良くなってくれればと、顔が付くくらいの接点を作ってあったばかりに事故が発生してしまいました。ちゃんと離しておかないとダメという教訓です。
